【まなび箱】今さら聞けない「IoTってなに?」

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「IoT」を構成する3つの要素技術とは?

IoTとは「Internet of Things」の略称であり、日本語では「モノのインターネット」と訳されます。モノをインターネット化することで情報を取得し、その情報を生かして業務を効率化したり、新しいサービスやビジネスを生み出すための一つの技術です。IoTは大きく分けるとデバイス、ネットワーク、アプリケーションで構成されています。それらのIoTを構成する技術要素、活用事例、IoT機器などをご紹介します。

IoTの市場規模と急速に成長している理由

IT専門調査会社IDC Japanによると、IoTの国内市場は、2019年から24年にかけて年平均10.3%で成長し、2024年の支出額は11兆4697億円になると予測されています。

この支出額にはIoT化したハードウェア(IoTデバイス)はもちろんですが、コネクティビティ、IoT向けのソフトウェアやサービスなども含まれています。中でもIoT向けのソフトウェアやサービスへの支出割合が急速に増加していくことが見込まれています。

このIoTという言葉を最初に使ったのは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のAuto-IDラボの共同設立者であるイギリスの技術者、ケビン・アシュトン氏だと言われています。

Auto-IDラボは、RFID(Radio Frequency Identifier)ネットワークと新しいセンシング技術のフィールド研究グループで、異なる4大陸にある7つの研究大学で構成されており、日本の研究拠点は慶應義塾大学に設置されていました。この研究グループの会話の中で、生まれたのがモノのインターネット「IoT」と言われています。

20年以上も前からある技術が、数年前から急に脚光を集めたのは、IoTの活用を進めるための技術、クラウドや機械学習やディープラーニングなどのAI、スマートフォンやセンサー、シングルボードコンピュータ(SBC)などIoTデバイスの普及、ネットワークが整備されたことです。

そしてもう一つ忘れてはならない観点が、少子高齢化による労働人口の減少、および新型コロナウイルス感染症拡大の抑制のため、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業が増加していること。DXで社会課題を解決するための手段として、IoTの活用が期待されていることが挙げられます。

DXはビジネス環境に柔軟に対応するICT環境を構築することはもちろん、人口減少時代を乗り越えていくための生産性向上の取り組みとして欠かせません。IoTはその手段としても非常に期待されているのです。

たとえば、製造業の工場で生産設備をIoTで見える化したとしましょう。

すると設備が自動で制御できるようになり、生産設備の省人化・省力化が実現。現場担当者の働き方が変わるとともに、生産現場の省力化が進むため、感染症拡大の抑制効果も期待できるというわけです。


IoTを構成する3つの技術要素

IoTはモノの個体情報を取得してネットワークで伝送し、それらの情報を蓄積して分析・活用したり、制御をすることで価値を生み出すための技術です。これを構成する要素技術は大きく、デバイス・ネットワーク・アプリケーションという3点に分けることができます。

1)デバイス

デバイスは、IoTデバイスとは機器同士やローカルネットワーク、インターネットに接続し、個体情報や制御の情報をやりとりするものです。

例えば、各種センサーをはじめ、インターネットに直接接続するスマートフォンやタブレット、スマートスピーカーなどの情報端末、それらの情報端末に接続するWebカメラ、照明・空調機器、家電製品、ウェアラブル端末など。

さらにIoTの自作が容易にできるSBC(シングルボードコンピュータ)なども、IoTデバイスに含まれます。

製造現場では、様々な設備に設置されたセンサーなどから情報を収集し、データを処理するため、IoTゲートウェイやエッジコンピューティングなどの中継機器が必要になります。そのほかにも人を介さず、自動的に媒体のデータを取り込むRFIDやバーコード、IoTセンサーが搭載された自動車、ドローンなども、IoTデバイスと言えるでしょう。

2)ネットワーク

ネットワークに接続する方式は大きく2つに分かれます。一つはデバイスが直接インターネットに接続する方式。固定回線やLTEや4G、5G、「NB-IoT」(セルラー系LPWA:Low Power Wide Area)を使う方式です。

もう一つはデバイスゲートウェイ方式。IoTデバイスには必要最低限のセンサー機能を搭載します。通信にはBluetoothやZigBee、Z-Wave、SIGFOXやLoRaWanなどの非セルラー系LPWA、さらにはルーターを介して固定回線と接続するWi-Fiなどが挙げられます。

数あるネットワーク技術の中で、今注目されているのが5GとIoT向けWi-Fi「IEEE802.11ah(以下、11ah)」です。5Gの特徴は「高速・大容量」「低遅延」「多数端末接続」。IoTデバイスは今後、飛躍的に増加することが予測されているため、多数端末接続ができる5Gに期待が集まっています。

通信事業者ではない企業や自治体がエリアを限定し、5Gネットワークを敷設するローカル5Gも、IoTの通信手段として活用が広がりつつあります。

一方の11ahは従来のLPWAと同様、長距離伝送(最大伝送距離約2km)を可能にする新しいWi-Fi規格です。従来のLPWAとの違いは、より高速な通信が可能なこと。そのため、従来のLPWAでは無理だった動画などの大きなデータも送信することが可能になります。

またセルラー系のネットワークと違い、Wi-Fiであれば、電波利用料も不要になります。そのため、山村や農村などセルラー網の利用が難しいエリアでもIoTデバイスを利用が容易になります。

3)アプリケーション

IoTでビジネス価値を引き出すためには、IoTデバイスの情報を取得・収集・分析するアプリケーションが欠かせません。

IoTデバイスからの情報を収集し、セキュアな環境で管理、分析ツールの提供や活用のためのIoTアプリケーション開発環境を提供する仕組みが、IoTプラットフォームです。IoTプラットフォームやIoTアプリケーションは、様々なベンダーが提供しています。

IoTデータの活用するためのアプリケーションとしては、BIやAIなどがその代表例です。エンドユーザー向けのIoTサービスも続々と登場しています。


IoTの身近な活用事例

すでにIoTは、様々な産業で活用が進んでいます。自動車や電車などの自動運転はその代表例です。自動運転は車に搭載されたセンサーが走行状況や位置情報を収集し、その情報をクラウドに送信、クラウド上のAIが分析して、その結果を車に返すことで実現します。

家電にIoTセンサーを搭載し、クラウドと連携することで、外出先からエアコンや空気清浄機を操作したり、室内温度や好みに合わせてコントロールする機能を実現しています。

製造現場では、ロボットや機械の異常発生を予防するために、ロボットや機械にIoTセンサーを付けて、稼働状況や動作を常時監視することが可能になっています。さらに取得したデータをAI分析することで、異常を未然に防ぐ自動化などが行われています。

農業をはじめとする一次産業でも、IoTが活用されています。例えば農場で取得した様々なデータを解析して栽培管理し、作物の品質向上につなげたり、水や肥料などを供給する機器にセンサーをつけて制御し、省力化や生産性向上に向けた取り組みを行っています。

このほかにも、様々な場面でIoTの活用が進められています。


代表的なIoT機器は「Raspberry Pi」「Arduino」

最後にIoTのプロトタイプ作成によく使われるSBCを紹介します。

  • Raspberry Pi(ラスベリーパイ)

https://en.wikipedia.org/
Raspberry Piは英ラスベリーパイ財団が教育向けに開発したARMプロセッサを搭載したSBC。グラフィカルユーザインタフェースが使えます。初期設定としてSDカードにOSを準備する必要はありますが、通常のPCのように利用できます。

プログラミング言語の利用に制限はありません。GPIOを備えており、センサーやモータなどの外部電気デバイスを接続してコントロールできることから、IoT用途に活用されています。Node.jsなどのJavaScript言語がわかれば、比較的簡単にデバイスを構築することが可能になっています。

  • Arduino(アルドゥイーノ)

https://ja.wikipedia.org/
Raspberry Piと同じく、IoTのプロトタイプに使われるArduino。Raspberry Piとの最大の違いは、開発にArduino専用言語を利用し、Arduino IDEという専用の開発環境をPCにインストールしなければならないことです。汎用的なOSが搭載されていないため、処理できるのは基本的に1つのタスクとなります。

複数のセンサーを同時に扱う場合や値に応じて通知などの処理をする場合など、複雑な処理を行うIoTソリューションを開発する際には、Raspberry Piの方が向いていると言えるでしょう。

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