【まなび箱】今さら聞けない「xRってなに?」

  • xR
  • まなび箱
  • 技術解説

VR・AR・MRの技術革新が加速──今こそおさえておきたいXRの基礎知識

近年、VR、AR、MRと様々な"xR"を総称する言葉として使われている「XR」。また、コロナ禍のリモート推進で、オンラインのコミュニケーションがこれまで以上に盛り上がっている今、XRはその核となる技術として注目が集まっています。VR/AR/MRの違いは何なのか、身近にあるデバイスやビジネスでの活用方法などを紹介します。

XRとは?──VR・AR・MRの違い

XRはVR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)の総称ですが、五感を中心とした感覚を刺激することにより、リアルではないけれど本質的には同じ環境を人工的に作り出す技術のことです。錯視、錯覚という視覚など、認知分野の研究成果なども取り入れ、リアルな現実世界とは別の新たな世界を作り出します。

VR・AR・MRの中で最も没入度が高いのは、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)で視界を塞いでしまうVRです。一方、ARは位置情報を使って現実世界にバーチャル世界を投影する手法。MRは現実の世界に重ね合わせる点ではARと同じですが、よりリッチなインタラクションによってバーチャルと現実を融合する技術です。MRをAR、VRの上位概念とする考え方もあります。

実はもう1つSR(Substitutional Reality)という代替現実と呼ばれ、現実世界にタイムラインの異なる映像を映し出すことで、”現実を錯覚させる”技術があります。ゴーグル型のVRデバイスなどで視聴することで、現実の映像にカットインで挿入される映像を現実に起こったことと認識します。

VRとARのこれまでの歴史

VR、AR、MRの中で、一番身近に使われるようになったのはARです。日本語では拡張現実と訳され、現実の風景にコンピューターで表現されたバーチャルな視覚情報を重ねて表示する技術です。

歴史的な経緯を振り返ると、仮想現実、Virtual Realityというコンセプトから始まります。1930年代から様々なSF作品で描かれ、1968年にヘッドマウントディスプレイが発明されます。1978年にMITが「en:Aspen Movie Map」を開発、1991年にイリノイ大学が部屋の全方位に映像を投影して没入環境を構築するVRシステムを提案し、その実装に向け、継続的に技術開発が行われてきました。

1990年代にはアーケードゲーム施設を中心に導入されたものの本格普及には至らず、2010年代に入ると「Oculus Rift」が登場し、HMD(Head Mounted Display)がVRの中心になっていきます。

2016年には「Gear VR」「HTC Vive」「PlayStation VR」が登場し、VR元年と言われましたが、想定する技術的精度には至らず、VRデバイスも高価で普及には至りませんでした。

一方、この時期に大きく普及したのがARです。1999年にAR用のマーカーのトラッキングに用いる画像認識ライブラリ「ARToolKit」がリリース。さらに契機になったのは、GPSセンサーや加速度センサーなど、位置情報を取得できるセンサー類に加え、高画質なカメラを搭載したiPhoneの登場です。新たな表現の可能性のあるARアプリも話題になりました。

ARはスマートフォンとの相性がよく、当初はエンタメの用途で活用が広がりましたが、現在では、ECサイトでARを用いて商品イメージを確認できる機能や、不動産情報サイトの内見をARで実現するアプリ、広告などの分野で広がりつつあります。

一方、VRは2018年に「Oculus Go」など、高性能で安価がVRデバイスが登場。VR市場はコンシューマー(ゲーム、動画、SNSなど)を中心に伸びていきます。

●主なさまざまなVRデバイス※価格は発売時の参考価格

MR(複合現実)=エンタメ市場からB2Bへ

MR(複合現実)は、現実とバーチャル表現を空間を重ね合わせるだけではなく、それぞれの空間がリアルタイムにインタラクトする、新たな”現実空間”を作り出す技術です。たとえば、ユーザーの動きにバーチャルな表示をシンクロさせたり、目の前の空間に映し出されたウィンドウに表示されるアイコンをクリックすると、その中でアプリケーションが起動し、操作することができます。

このMRは、現実世界への重ね合わせや現実世界とバージョン世界の間でインタラトができるという特性から、近年期待されているのはBtoB(企業間取引)での応用です。

代表的なMRデバイスは「Microdoft HoloLens」です。HoloLensは「Microsoft Holographic」というホログラフィック技術を採用したHMDで、内部的ではWindows 10が動作しています。日本でも2017年に発売され、現行のバージョンはHoloLens 2です。

HoloLens 2では、手や指先による操作のほか、瞳や視線での操作が可能です。すでに、製造現場のマニュアルや操作支援をMRアプリを使って提供するなど、現場での導入が進んでいます。

もちろん、VRにも活用事例がありますが、ゴーグルの形状のVRデバイスがリアルな世界を遮断してしまうため、BtoBに適する利用シーンはMRのほうが多いと言えます。ただその分、ClusterなどVRプラットフォームにおけるコミュニケーションは、VRの得意分野です。

このように、VR、AR、MRはその技術的な特性から、応用分野も棲み分けができつつあると言えるでしょう。

今後のXR市場の鍵はアプリケーション

XRそれぞれの技術が進化し、時代の流れもオンライン志向となり、いよいよ社会実装のフェーズが近づいてきました。実際、マイクロソフトによる調査では、MR市場が2025年には約343億ドル規模まで拡大するとされています。その流れはMRに限らず、VR、ARにも及んでいます。

もう1つのポイントは、市場の軸はデバイスなどのハードウェア開発からソフトウェア、アプリケーションの開発に移行しているという点です。VR元年を盛り上げた要因には、360度カメラの普及がありました。それらのカメラで撮影した素材をVR動画に編集にするアプリ/サービスも登場し、VR動画の自作も進みました。

現在、XRアプリの編集はUnityなどゲームエンジンのソリューションを使うことが一般的です。マイクロソフトはAzure上で手軽にMRシステムを組めるアプリケーションを提供したり、開発パートナー制度などを整えています。Oculusも開発環境やエコシステムを構築しています。

デバイスの低価格化と普及、アプリケーションの拡充、これらが揃っていくことで、今後、日常生活の中にいよいよXRが入っていくことになります。コロナ禍で始まったリモートワークの流れは今後も続くと予想されます。XR技術は、リモートワークをより促進する技術要素の1つになるでしょう。

記事のタイトルとURLをコピーする
【まなび箱】今さら聞けない「ブロックチェーンってなに?」
ブロックチェーン まなび箱 技術解説
【まなび箱】今さら聞けない「ローカル5Gってなに?」
まなび箱 ローカル5G 技術解説
【まなび箱】今さら聞けない「IoTってなに?」
IoT まなび箱 技術解説