【つなぎびと#8】池澤あやかさんに「女性エンジニアとして働く魅力」について聞いてみた

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経済産業省「2020年版情報サービス産業基本統計調査」によれば、女性のITエンジニア比率は約2割。男性と比べればまだまだ少数である。どうしたら女性のITエンジニアが増えるのか。そもそも女性エンジニアたちは目指すべきロールモデルや、将来のキャリアやスキルについてどう考えているのか。デジタルデザイン部の浦壁沙綾と総務人事部の赤井田絵美が池澤あやかさんと語り合った。

開発環境の構築に苦心。その先に無限の世界が広がっていた

浦壁:まずは、池澤さんの最近の活動について教えてください。

池澤:週4日ソフトウェアエンジニアとして開発に携わり、空いた時間でメディアへの寄稿やイベント登壇などの活動をしています。最近のメインはRuby on Railsを使ったAPIや、LINE botの開発。LINE botは、LINEから予約できる空間管理システムを今作っているところです。3~4人でチームを組み、同時に複数のタスクを進行させながら開発しています。

浦壁:プログラム開発を始めたきかっけは何だったのですか。

池澤:高校時代からWebサイト制作には興味があったのですが、本格的に始めたのは大学に入ってからです。授業でHTMLやCSSを学びました。担当教授からの紹介でWeb制作会社でアルバイトをすることになり、WordPress、PHP、JavaScriptなども覚えました。最初はWebフロントの開発が主だったのですが、バックエンドの開発にも携わるようになり、今に至るという感じですね。

Rubyとの出会いは、島根県松江市で開催されたRuby合宿に参加したことですね。Rubyの生みの親、まつもとゆきひろさんが松江市のご出身なのでRubyのメッカのようになっていて、初心者でもOK。学生にも支払える料金だったので、思い切って飛び込みました。

池澤あやかさん

赤井田:その頃、池澤さんの周囲にプログラムを書く女子学生は多かったのですか。

池澤:大学(慶應大湘南藤沢キャンパス環境情報学部)が文理融合をモットーにしていたので、女性は4割くらい。私がメインで所属していたインタラクションデザインの研究室は男女半々でした。新しい表現技術を追究する研究室なので、プロジェクトを進めるために必要であれば、プログラミングや電子工作をするというのが当たり前の環境だったので、あまり違和感はありませんでした。

浦壁:池澤さんが考える「プログラミングの難しさと魅力」について聞かせてください。

池澤:プログラミングを始めた頃は、開発環境の構築に戸惑いました。プログラムを書く以前に、開発ツールのインストールに失敗するみたいな(笑)。ただ、その壁を乗り越えれば、プログラミングには無限の可能性があると思っていました。

例えば、大学のWebサイトに掲載される課題一覧から、情報を自動的に収集するWebスクレイピングのプログラムを書いたり、学生としての日常生活にも活用していました。

また、プログラミングは単にソフトウェアやWebを動かすだけでなく、電子工作によって機械を制御することもできますよね。Arduinoというマイコンを使って、金魚に自動で餌を与えるような装置を作ったりとか。

東日本電信電話株式会社 デジタルデザイン部 浦壁沙綾

浦壁:技術力があれば、自分の日常生活をちょっと便利にしたり、趣味を楽しくすることにも活かせますよね。いま、池澤さんが注目しているソフトウェア技術はありますか。

池澤:今はWeb技術も複雑になってきて、バックエンド、フロントエンド、あるいはサーバー構築一つをとっても負荷分散を専門に行う人がいたり、一人の力ではなかなかモノが作れなくなっていますよね。だからこそ、もし時間があったとしたら、最初から最後まで自分一人の力でモノを作ってみたいと思っています。

浦壁:その気持ちはよくわかります。私の部署では、開発プロセスの内製化ということもテーマの一つに掲げています。とはいえ、エンジニアばかりではないので、高い技術知識や経験がなくても、開発業務に従事できるように、ローコード開発も積極的に取り入れています。

そこで、まずはデモンストレーションできるまでのプロトタイプを作って、それを社内の人たちに試して取り組みをしています。自分の手でモノづくりをしたい人には合っている環境かもしれません。


多彩なキャリアパスでチャレンジする女性エンジニアを応援

浦壁:池澤さんはNTT東日本にどんなイメージをお持ちですか。

池澤:超大手企業というイメージです。NTTはグループ会社がたくさんあるので、全容がよくわからない面もあります。

赤井田:採用の場でも、グループの企業それぞれの業務の違いをよく聞かれます(笑)。やはり通信・ネットワークのインフラ構築の会社というイメージも強いようです。たしかに通信インフラはベースの事業ですが、AIやIoTなど新しい技術へのチャレンジもしていますし、若手がチャレンジできるフィールドも増えてきました。女性エンジニアの活躍支援にも注力しています。

東日本電信電話株式会社 総務人事部 赤井田 絵美

池澤:女性エンジニアはどのくらいいらっしゃるのですか?

赤井田:入社3年目までの新卒社員のうち、技術系の女性は約100人。NTT東日本の女性エンジニアにはSEや通信インフラの構築や保守のほか、AI・IoTなどのデジタル技術に携わるがいます。近い将来には、エンジニア全体の女性比率を増やしたいと考えています。人材育成にも力を入れていて、資格取得のサポートも行っています。

浦壁:池澤さんは自宅をスマートホーム化したくて、第二種電気工事士の資格を取られたと聞きました。

池澤:前から電気工事士の資格は取りたかったので、技能試験対策講座に通って勉強しました。自動車免許に比べると学科は難しいのですが、実技は意外と簡単でしたね(笑)。
お二人はどんなキャリアパスを歩まれているのですか?

赤井田:私は、新卒で入社後は新潟支店に配属されました。そこでは顧客先の光ファイバーのケーブルを繋いだり、地方で光ネットワーク網の伝送路を考える設計の仕事をしていました。3年間現場の仕事を経験した後、本社の研究開発部門に異動しています。

さらに、企業向けの施策を検討する企画部門を経験して、現在は人事部に所属しています。異動のタイミングで上司に今後のキャリアをどうしたいのかを相談したところ、希望が受け入れられて、いろいろなフィールドを経験することができました。

浦壁:私も最初の配属は、NTTの局舎ビルのネットワーク設備を保全作業する現場でした。もともとネットワークエンジニアでしたが、今はデジタル系をメインで、企画戦略を担当しています。

私の周りでは、男性と一緒に仕事に取り組んでいる女性エンジニアが多いですね。ロジカル思考力が高く、目標設定が明確な人が多いという印象があります。池澤さんがロールモデルとして憧れる女性エンジニアはいますか。

池澤:私も周りも、個性的で意思が強く、技術力の高い女性が多いですね。単に知識量が多いとか視野が広いというだけではなくて、オープンソースのコミュニティへの貢献度も高い。数はまだ少ないけれど、Rubyのコミッターとして活躍する女性もいます。そういう人には憧れます。

浦壁:NTT東日本にも技術力も兼ね備えながら、チームをリーダーとして引っ張っている先輩の女性社員がいるのですが、率直に格好いいと思っています。


女性のライフイベントとキャリアの両立を後押しするには?

浦壁:女性エンジニアとして、将来のキャリアについて不安に感じることはありますか。

池澤:これは女性に限らない話ですが、エンジニアは技術のスペシャリストとして現場で活躍し続けるのか、プロジェクトやメンバーを管理するマネジメント側に進のかで悩む人は多いと思います。私にもいつかそういう分岐点が訪れるのかもしれませんが、とりあえず今は現場で開発一辺倒という感じですね。

浦壁:女性は出産、子育てというライフイベントによって、キャリアが一時中断してしまうのではないかという不安はありますね。

赤井田:女性学生との面談でも、そうした不安を持つ人は少なくありません。そうした女性特有の不安や悩みを払拭するために、結婚して子育てしながら働く女性マネージャーに体験談を語ってもらうイベントなども開催しています。

池澤:女性のライフイベントとキャリアをどう両立するかという話はとても大切ですね。最近、コロナ禍でリモートワークが増えていますが、ワークとライフを両立するという意味ではポジティブな効果があるんじゃないかとも思っています。

子育てしながら仕事もできるし、リモートでも仕事ができるとなると、育休後の職場復帰もスムーズにやりやすいのではないかと。

浦壁:リモートワークが当たり前になると、育休や時短勤務もとりやすくなりますよね。ただ女性がもっと働きやすくなるためには、男性が育休を取りやすい環境を作って、育児が分担できるといいなと思います。

赤井田:女性エンジニアを増やすためにも、キャリアパスが自由に設計できて、新しいことにどんどんチャレンジできる環境や制度を作っていきたいですね。

さっきも少し話しましたが、NTT東日本はただの通信インフラ企業ではなく、デジタル技術を活用した新しいチャレンジを多くしています。そんなイメージを多くの方にもってもらいたい。一方で、NTTは業務エリアが広く、支店もたくさんあり、そこが地方創生に携われる大きな強みでもあります。転勤などのライフプランを心配される方も多くいると思いますが、もちろん希望を言える場もありますし、今はリモートワークも主流になっていてどこにいても働ける環境へ変化して気いるので、そこは安心してください。

浦壁:地方生活を経験できるのは、貴重な体験でもあります。そこは前向きに捉えてもいいのではないかと思います。

赤井田:私も最初の配属は新潟でしたが、新潟での生活は楽しくて仕方がなかった(笑)。


プロジェクトやコミュニティで繫がり助け合える

赤井田:人事としても、これからも女性エンジニアの不安を少しでも取り除きたいし、解決策を考えていきたいですね。

池澤:エンジニアの世界にまだまだ女性が少ないのは事実ですが、何かサービスを設計する場合、エンジニア単独で仕事が完結するということはほとんどありません。デザイナー、企画職、サービス運営など、ビジネスサイドの人とも協力しながら開発を進めるわけですよね。そういう視点でみると、プロジェクトの中に女性がどこかに必ずいるはず。

だから、女性だから孤立するということは、実はあまりないと思うんです。女性が少ない分、女性エンジニアのコミュニティもたくさんありますから、そういう人たちと繫がれば、助け合うこともできます。

浦壁:女性エンジニアの数がさらに増えて、たくさんのロールモデルが出てきたら、もっと様々なキャリアを選択できるようになるし、活躍の場も広がります。コロナ禍をきっかけに多様な働き方が浸透するようになり、チャンスが広がっています。

今日の池澤さんの話には、私たちも勇気づけられました。ありがとうございました。

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