【まなび箱】今さら聞けない「メタバースってなに?」

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インターネット上における仮想の共有空間として、いま注目されているのが「メタバース」です。Facebook社が社名を「Meta」に変更したことも大きな話題になりました。メタバースには、何が期待されているのでしょうか?

メタバースとは

端的に言えば、メタバースとは「仮想共有空間」です。コロナの影響でコミュニケーションの主流がオンラインになった昨年、「メタバース」という言葉が突如として現れたと思われる方も多いかもしれませんが、実はその概念は昔からありました。

SF作家ニール・スティーヴンスンによるサイバーパンク小説『スノウ・クラッシュ』(1992年)に登場する架空の仮想空間サービスの名前がその発祥(※)とされています。

※metaverse(メタバース)とは「meta(超)」と「universe(宇宙)」を合わせた造語です。ちなみに『スノウ・クラッシュ』は2022年1月に新版が刊行されています。


メタバースの歴史と最新動向

実際、その後インターネットが登場すると、早々に『Second Life』(2007年)を始め、さまざまな仮想空間サービスが生まれます。一方、オンラインゲーム(MMORPG※)というジャンルも登場します。
※MMORPG(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game )とは、「大規模多人数同時参加型オンラインRPG」のこと

広義の意味では、MMORPGもメタバースの一種と捉えることができるでしょう。Second Lifeはアバターを使って仮想空間の活動を楽しむものですが、MMORPGはモンスターを倒すという目的をメンバーと共有し、その過程を楽しみます。仲間とコミュニケーションを取る中で、緩いコミュニティが生まれるといった文化が熟成されています。
Second Lifeより
(https://www.flickr.com/photos/lindenlab/albums/72157633789899717)

2021年に興ったメタバースがこれまでの仮想空間を扱うサービス(ゲームも含めて)と大きく異なるのは、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)による身体的な体験を伴うことができるという点です。

ARおよびVRは、これまで何度も「AR元年だ」「VR元年だ」とブームが繰り返されてきましたが、近年になって安定した(かつ比較的安価な)デバイスが登場したこともあり、このタイミングでメタバースにうまく融合したという印象です。AR/VRからすると、ようやくキラーコンテンツに出会ったと言えるのかもしれません。


メタバースの特徴

現在のメタバースの特徴として挙げられるのが、現実空間とのリンクです。現実空間における物理情報を収集し、それを元に3D空間にそっくり再現してしまう事例もあります。

もともと建築分野および製造領域がDXの1つとして、仮想空間上でのシミュレーションによりコスト削減を狙って導入を進めてきたものですが、この「デジタルツイン」という概念を組み合わせることにより、メタバースは単に「仮想空間を共有する」から「もう1つの現実空間を共有する」という意味合いが強くなってきたと言えます。

仮想空間上で歩くにしても、VRデバイスをつければ実際に歩くことでアバターの動作をコントロールするため、身体の感覚と認識が一致する体験となります。つまり、現実と同じように同じ街に出かけて友だちと会う感覚になるわけです。こうした点が、従来の仮想現実ブームと異なるところです。


メタバースに関するプラットフォーム

従来のITプラットフォーマーもメタバースへの参入意欲を明らかにしています。Metaは2021年10月にVRサービス『Horizon Worlds』(旧称:Facebook Horizon)を発表し、招待制としてβ版でのサービスを始めています。VR映像プラットフォーム『Horizon Venues』と合わせたユーザー数はグローバルで30万人を超えたと言われています。

Microsoftは2021年3月にMR(複合現実) のプラットフォーム『Microsoft Mesh』を発表しました。Microsoft MeshはMRデバイス「Microsoft HoloLens」を使って、現実空間に仮想空間を重ね合わせて表示できるプラットフォームです。クラウドサービス「Microsoft Azure」上に構築され、レディメイドのMRアプリケーションを使って複数人での3D CGの共有が可能です。

カスタマイズツールもあり、MRアプリケーションアプリを構築することもできます。Microsoft Meshが想定する使用シーンはリモート会議、工場における機器の操作や作業工程のトレーニング/ナビゲーションなど、ビジネスシーンであることも特徴の1つです。

また、今年に入ってMicrosoftは大手ゲーム会社Activision Blizzardを687億ドル(約7.8兆円)で買収すると発表しました。ゲーム事業の成長を加速させること、同時にメタバース事業の発展につなげることが買収の目的としています。

その他、現在、『フォートナイト』(Epic Games)、『VRChat』(米VRChat)、『Cluster』(クラスター)、『あつまれ どうぶつの森(以下、あつ森)』(任天堂)など、さまざまなサービスがメタバースを掲げています。


メタバースに注目が集まる理由

ここまでメタバースが注目を集める理由には何があるのでしょうか。もちろん、コロナ禍という時代の影響も大きいわけですが、2010年頃からインターネットサービスを牽引してきたSNSが頭打ちになったという背景があります。

フェイクニュース、度重なる炎上、SNS疲れは日本だけではなく、グローバルに起きています。各社が新たなプラットフォームを模索している中、メタバースに大きな可能性が見えるということなのです。

まず、前項で述べたように現実世界とのリンクによる効果です。例えば、実店舗さながらの店舗を仮想空間に建てることでPRが期待できます。それだけなら従来のSNSの広告マーケティングと変わりませんが、ブロックチェーン技術のNFT(Non-Fungible Token;非代替性トークン)を組み合わせれば、マーケティングだけではなくその場でEコマースの取引が可能です。

間接的に、ではなく、直接エンドユーザーからお金を取ることができるわけです。これは収益の面で大きな利点となります。

世の中の動きとしても、テレワークやコミュニケーションの手段がオンラインとなったことで仮想空間を利用する心理的なハードルは低くなっています。物理的な移動ができない代わりにバーチャル旅行といったように、新たな商品が生まれています。

現在はゲームやイベントのようなエンタメ分野を中心とした活用が広がっている段階ですが、今後はビジネスシーンやトレーニング、オンライン授業など、さまざまなシーンでの活用が期待されています。インフラからアプリケーション、コンテンツサービスなど、さまざまなステークホルダーが絡むことになります。

このように、さまざまな立場の多くの人たちにとって可能性があることから、今後もメタバース市場の拡大は加速していくと考えられています。米国の調査会社Emergen Researchによる予測では「グローバルでの市場規模は2028年には8,289億ドルに達する」とされています。


メタバースを支える技術とその課題

最後に、いわゆるメタバースを実現するための技術を紹介します。まず、物理情報の収集としてセンシング技術(IoT)、収集できない部分を計算するデータ分析/AI、取得したデータから3Dを描画するCG技術、アバターなどCGキャラクターを作成し、それらを統合して画面に表示する技術が基盤となります。

これらは、いずれも、AR(MR)/VRの実装に必要な技術です。もちろん、メタバースを快適に楽しむには、通信インフラとしての5G/Wi-Fi(将来的にはWi-Fi 6)も欠かせません。メタバースを活用する際のデバイスは圧倒的にモバイルが主流です。

つまり、モバイル回線の高速化、大容量化があって初めて可能なのです。ただ、そもそもリアルタイムにCGを描画する処理は負荷が高く、AR/VRデバイスで仮想空間を自由自在に動き回るにはそれ相応の性能が必要になるなど、ネットワークやデバイスを始めとする様々な技術面でのさらなる課題解決が待たれます。


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